司法書士豆知識
民法改正情報1
婚姻期間20年以上の配偶者から、居住用不動産を贈与(遺贈)された場合の、遺産分割協議との関係は?
婚姻期間20年以上の配偶者から居住用不動産を贈与(遺贈)された場合は、原則として、のちの遺産分割協議のときに、配偶者の取り分が増えることになります

改正前:贈与された部分を「遺産の先渡し」として取り扱うため、遺産分割協議で贈与がなかったのと同じ結果になります

改正後:贈与された部分を「遺産の先渡し」として取り扱う必要がなく、贈与して残った部分が遺産分割協議の対象となります
つまり、配偶者としては自宅を確保したうえで、残った財産をあらためて遺産分けするということになります

具体例(法務省HP)
http://www.moj.go.jp/content/001263484.pdf

この改正は2019年7月1日から施行されています
将来の相続に不安がある方、ぜひご検討ください

なお、贈与税に関しては従来から「婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できる」という特例があります。ただし申告が必要です。
相続人の範囲 1 順位
亡くなった方(被相続人と呼びます)に

 

〇配偶者と子供がいる場合   配偶者と子供

(被相続人の子供がいる場合は、被相続人の親兄弟は相続人になりません)

※養子縁組して他の人の養子になっている子供も相続人です

〇配偶者と親がいる場合(被相続人の子なし) 配偶者と親

養子縁組している方は養親、実親どちらも相続人です

〇配偶者と兄弟姉妹がいる場合(被相続人の子も親もなし) 配偶者と兄弟姉妹

 

 

〇配偶者おらず子供がいる場合 子供だけ

◯配偶者と子供がいなくて親がいる場合     親だけ

◯配偶者も子供も親もいなくて兄弟姉妹がいる場合  兄弟姉妹

 

が相続人になります
相続人の範囲 2 代襲相続
代襲相続人の詳細はお尋ねください

 

本来相続人になるべきだった人が

(おじいちゃんが亡くなったらお父さんが相続人)

不幸にして先に亡くなってしまっている場合

その相続人の子供が相続人になります

(たとえば、おじいちゃんより前にお父さんが亡くなっていたら孫が相続人)

 

相続人になるべきだった兄弟姉妹が先に亡くなっているときも

その子供(甥姪)が相続人になります

※原則、甥姪が亡くなっている時にはその子供が相続人になることはありません
遺産分割協議書
相続登記に必要な書類のなかに遺産分割協議書があります。相続人どうしで、誰がどの遺産を相続するか話し合って決めた結果を書き、相続人が実印を押します。必要な事項が抜けていると、相続登記に使えませんので注意しましょう。

不動産の表示を書くときのポイントを簡単にご紹介します。いずれも登記事項証明書(登記情報)をよく見て書くことが大事です。

1  不動産の表示は、住所とは異なります。
2  土地と建物では「所在」の書き方が異なります。
3  不動産の表示のなかには「〇番〇」と「〇番地〇」があります。
4  マンションの場合は登記完了証や権利書の書き方が見本になります。
固定資産税評価証明書の取り方
不動産の相続登記を申請するときに必要になる固定資産税評価証明書を、発行してくれるのは市町村の固定資産税の係です。ただし、東京23区は都税事務所となりますので注意が必要です。遠方の場合、郵送請求も可能で、郵送請求の方法をホームページなどで公開している自治体も多いです。

固定資産税評価証明申請書には地番を記入しますので、固定資産税納付書など、地番がわかるものを持参しましょう。
除票(除かれた住民票)の取り方
相続登記をしようとすると「除票」を用意を求められることが多いと思います。聞きなれない書類ですが、分かりやすく言うと亡くなった方の住民票です。死亡届により住民登録が抹消されるので亡くなられた方の「住民票」は取れないのですが、過去に住民登録があった方の「除票」を取ることができます。

除票の内容は、住民票とほぼ同じですが、死亡していることや死亡年月日も記載されています。

除票を取るためには、お亡くなりになった方が最後に住民登録をされていた市区町村へ請求します。遠方の場合は郵送請求できますので、自治体のホームページをご参照ください。
相続に必要な戸籍謄本等の集め方1
相続手続きの場合、お亡くなりになった方の、出生から死亡までの連続した(途中でブランクがないように)戸籍が必要です。

大抵の方は出生から死亡までの間に何度か戸籍を移動しておられます。まず、亡くなられた記載のある最新の戸籍を取得し、だんだん遡って取得されるのが良いでしょう。

どの戸籍にも、直前の本籍や筆頭者についての記載があり、それを見ると遡るべき戸籍をどこで取得するのか判るようになっています。

また、戸籍を取得する際の窓口で「出生から死亡までの連続した戸籍」と説明されれば、よりスムーズに複数の戸籍を取得することも可能です。

戸籍は本籍のある市区町村で取得しますが、遠方の場合、郵送で請求することも可能です。各自治体のホームページにも郵送請求の方法が紹介されていますが、当事務所で代行することも可能です。
相続に必要な戸籍謄本等の集め方2
戸籍には、戸籍謄本・戸籍抄本があり、また現在戸籍・除籍・改正原戸籍という種類があります。相続手続きで「亡くなられた方の出生から死亡までの連続した戸籍」を取る、という時にはそれほどこだわる必要はありません。

[謄本と抄本]
戸籍謄本は戸籍に入っている人全員を載せてあり、戸籍抄本は一人だけを載せてあるものです。謄本か抄本か迷ってしまった時には、謄本を選ばれるのが無難なところです。ただし、除籍・改正原戸籍は謄本しかとれません。

[現在戸籍・除籍・改正原戸籍]
現在戸籍は、その戸籍に記載されている人の現在のことが書かれている戸籍です。何人かの人がひとつの戸籍に入っていて、亡くなられたり新しい戸籍に入ったりして戸籍から抜けた方がいても、全員が抜けるまでその戸籍は生きています。

それに対し、除籍は記載されている人全員が、その戸籍から抜けたり、あるいは全員で本籍を別のところに転籍してしまったりして、戸籍の中に誰もいなくなった過去の戸籍であり、改正原戸籍は役所が戸籍用紙を新しくしたために、過去のものになってしまった戸籍です。

いずれにしても、「ある人の〇〇年〇月〇日から〇〇年〇月〇日までの戸籍」というと、3つの中のどれを取るのかは、おのずと決まってしまうものです。

 
相続登記の期限
不動産の相続登記は「いつまでに申請しなければならない」という法定の期限はありません。
ですが、自分の法定相続分を超えて相続した分については、登記しておかないと第三者に対抗できません。たとえば相続人全員の共有で相続登記がされ、さらに自分以外(兄弟姉妹など)の持分に差押がされてしまうと、その差押債権者には対抗できないことになります。
また、時間の経過とともに登記をするための余分な費用や手間も増えてきます。

なお、相続放棄は、相続の開始(被相続人の死亡)があったことを知った時から三か月以内に行わなければなりません。

また、被相続人の順確定申告や相続税には期限がありますのでご注意ください。
相続登記用必要書類の期限
不動産の相続登記の必要書類の期限は決められていません

※固定資産税評価証明書については当年度のものでなければなりませんので、4月になり年度が変われば新しい物が必要になります

戸籍関係書類や印鑑証明書についても特に期限はないのですが、これらの書類を登記以外で使うときには各々で期限を設定されていることがありますのでご注意ください

例 金融機関で預金の相続手続きにも戸籍関係書類が必要になりますが、各金融期間で「3か月以内のもの」「6か月以内のもの」など指定されていることがあります


不動産登記申請の際に使った書類のほとんどは登記が完了すれば、また手元に戻ってきますので、別の手続きに使いまわしすることも可能です。
相続登記必要書類~遺言がなく相続人間で遺産分割をする場合
遺言がなく、相続人が遺産分割協議をする場合の相続登記をご依頼頂く際当事務所でお願いしている必要書類は以下の通りです

①お亡くなりになった方の除籍謄本・改正原戸籍謄本・戸籍謄本
(出生から死亡まで連続したもの)
※ご面倒であれば司法書士で取得できます

②お亡くなりになった方の除かれた住民票

③相続人全員の戸籍謄本または戸籍抄本

④相続人全員の住民票(マイナンバー記載なし・本籍記載あり・続柄記載なし)

⑤相続人全員の印鑑証明書

⑥固定資産税評価証明書

⑦本人確認書類(自動車運転免許証・個人番号カードなど)

⑧あれば権利書

⑨あれば遺産分割協議書(司法書士も作成いたします。ご依頼されるお客様がほとんどです)

お仕事などでお時間がとれず「できるだけ司法書士に動いてほしい」とご希望の方は⑤⑦⑧だけご用意いただければ、他は司法書士で取得することができます。